JGB Flow by Tenor

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発行額の吸収先

発行額を投資家区分の積み上げで分解。発行額 = 日銀+都銀+年金+海外+生損保+地方投資家+その他の投資家+残差。 JSDAの「その他」(日銀・財務省・ゆうちょ銀行・かんぽ生命等が混在し分離できない)と「債券ディーラー」(年±0.4兆円以下のノイズ)は除外。 郵貯・簡保売越はゆうちょ銀行(ディスクロージャー誌・単体)とかんぽ生命(連結)の決算開示から年度別国債売却額を取得し、月次均等配分したもの。 ゆうちょの売却は残存期間別残高変化(FY2022実績、f6=7%)から中期17%・長期83%に按分、かんぽは全額超長期に計上。 この分を残差から除いているため、残差はゆうちょ・かんぽ売越を除いた未捕捉分を示す。 都銀・生損保・年金には、業態別落札実績による直接落札(国内銀行→都銀、保険会社→生損保、 その他→年金〈2025年度以降。GPIF保有銘柄との突合で確認〉)を加算しています。 折れ線が発行額で、棒の合計との差が残差にあたります。
直接落札
全年限(中期+長期+超長期)
中期
長期
超長期

供給と吸収

発行額は入札日基準の総発行額(第Ⅰ・Ⅱ非価格および流動性供給を含む)。日銀買入はオファー日基準の原発行年限別。 「その他」はJSDA投資家区分で、日銀・財務省・ゆうちょ銀行・かんぽ生命等を含む。

投資家別 ネット売買(プラス=買越)

JSDA公社債店頭売買高(一般差引)の値をそのまま表示。「その他」は上のカードで分解しているためここには含まない。

参考:統計に現れない売買の推計

入札=発行額−「その他」売付額/日銀=日銀買入−「その他」買付額。いずれもプラスは、JSDAが捕捉していない売買が存在することを示す。 「その他」にはゆうちょ銀行・かんぽ生命等の売買も含まれ、それが控除されて出てくる値なので、実際の規模の下限を示す。 上の「発行額の吸収先」は「その他」を使わない分解なので、こちらは旧方式の参考値。

読み方と限界

最上段のグラフは、財務省が発行した国債を誰が吸収したかを 発行額 = 日銀+都銀+年金+海外+生損保+地方投資家+その他の投資家+残差 の形に分解したものです。 日銀は銘柄別保有額の差分(原発行年限別・オファー日基準)、それ以外はJSDA「公社債店頭売買高」の投資家別ネット売買 (年金=信託銀行、地方投資家=地方銀行+第二地銀協加盟行+農林系金融機関+信用金庫、 その他の投資家=その他金融機関+投資信託+官公庁共済組合+事業法人+その他法人+個人)です。 JSDAの「その他」区分は日銀・財務省・ゆうちょ銀行・かんぽ生命等が混在して分離できないため使わず、 「債券ディーラー」も年±0.4兆円以下のノイズなので除いています。

さらに、財務省『債務管理リポート』資料編「業態別落札実績」による直接落札を都銀・生損保・年金に 加算しています(国内銀行→都銀、保険会社→生損保、その他→年金)。JSDA統計は協会員が介在した取引しか拾わないため、 銀行や保険会社が自ら入札して落札した分はどこにも現れません。業態別落札実績は年度・銘柄単位のシェア(%)なので、 当該年度の各月の銘柄別価格競争入札分(発行額 − 第Ⅰ非価格 − 第Ⅱ非価格)に掛けています。 シェアの分母が価格競争入札分なので、掛ける相手もそこに揃える必要があります(近時の価格競争入札分は総発行額の 73〜76%で、2024年度からの第Ⅰ非価格枠の拡大により比率が下がっています)。流動性供給入札は非価格枠が無いので全額を 対象とし、銘柄が特定できないため年限別発行額に「流動性供給入札」行の業態シェアを掛けて配分しました (原資料は2017年度版からこの行を落としているので、2016年度の銀行1.0%を以降に流用しています)。 「直接落札」の切替で、市場経由分と直接落札分を分けて表示できます。

推計の妥当性は、発行額 − 「その他」売付額(=JSDAに計上されていない発行額)と突き合わせて確認できます。 JSDAの投資家別売買統計は全区分+「その他」のネット合計が毎年度ほぼゼロになる複式構造なので、このギャップが 「協会員を介さずに落札された額」にあたります。直接落札の推計値は全年度でこのギャップとよく一致し、2025年度は 推計27.6兆円 対 ギャップ27.4兆円です。

業態「その他」を年金としているのは、GPIFの保有銘柄と突き合わせて確認したものです。この区分は2013〜2024年度が ほぼゼロなのに、2025年度だけ全年限へ一斉に現れます(2年0.9兆・5年4.6兆・10年5.2兆・20年1.0兆・30年0.7兆・ 40年0.1兆=計12.5兆円)。GPIFが2025年春に日銀ネットへ加入して国債入札への直接参加を開始した時期と一致し、 同じ年度にJSDA「信託銀行」のネット買越が落ちていること(長期債で2023年度6.1兆→2025年度2.2兆)とも整合します。

決め手は年限プロファイルの一致です。GPIFの保有全銘柄(2026年3月末)を各回号の初回入札年度で 仕分けると、2025年度発行銘柄の保有は19.9兆円で、発行額に対する比率は2年8.4%・5年24.3%・10年20.6%・20年15.7%・ 30年12.1%・40年7.6%。業態別落札実績の「その他」シェア(2年3.5%・5年20.6%・10年21.8%・20年13.0%・30年10.7%・ 40年3.6%)と中期〜超長期でほぼ重なります。2024年度以前の発行銘柄もGPIFは相応に保有していますが(5年3.9兆・ 10年2.3兆など)、それらの年度の「その他」はゼロです。差額(保有19.9兆 − 直接落札12.5兆 ≒ 7.4兆)は、 流通市場経由・第Ⅰ/Ⅱ非価格・流動性供給による取得分にあたります。

したがって12.5兆円はGPIFの直接落札の下限、19.9兆円は2025年度発行銘柄の取得額の上限 という関係になります(保有は期中売却後のストックで、流通市場で買った分も含むため)。本ページのモデルによる 2025年度の年金の直接落札は12.5兆円で、下限にあたる業態別落札実績の実額とほぼ一致します。 なお財務省は「その他」の内訳を公表していないため、公式に確認された分類ではありません。 2024年度以前の「その他」は別物とみて配分せず、残差に残しています。

残った残差が、この統計では捕捉できていない買い手です。中身は ①買入消却、②統計の非捕捉分。ゆうちょ銀行・かんぽ生命は決算開示値から「郵貯・簡保売越」として別掲し、残差から除いています。 残差はマイナスにもなります。日銀が発行額を超えて買った局面では、新規発行ではなく既存保有分が 日銀に流れているため、識別できた買い手の合計が発行額を上回るからです。とくに2022年度は日銀が発行額の1.85倍 (長期債で70.7兆円 対 発行38.2兆円)を買い、海外が13.1兆円を売り越した年で、「発行の吸収先」という枠組み自体が 成り立ちません。直接落札を取り込んだ結果、2025年度の残差は8.1兆円(対発行6.0%)まで縮んでいます。

JSDA「公社債店頭売買高」は約定ベースで、協会員(証券会社)および特別会員(登録金融機関業務に係る取扱いのみ)が 報告した店頭売買を集計したものです。財務省の公募入札による落札と、日本銀行等のオペレーションによる落札も 「その他」に計上されます。

ただし、統計に現れない売買が2種類あります。ひとつは入札での直接落札で、投資家が証券会社から買うのではなく 自ら入札に参加して落札した場合、協会員が介在しないため計上されません。もうひとつは銀行の投資勘定の売買です。 特別会員が報告するのは登録金融機関業務、すなわちトレーディング勘定の取引に限られますが、預金取扱機関の債券売買の 大部分はバンキング勘定(その他有価証券・満期保有目的)で行われています。証券会社が相手なら証券会社側が報告するので 片側は残りますが、日銀のオペで銀行が投資勘定の国債を放出した場合は、どちらも報告しないため取引ごと消えます。 このため統計上の売付額と買付額は一致しません。

なお日銀のオペは対象先59社との相対取引であり、証券会社経由という経路は存在しません。「日銀の直接買い」ではなく 「報告対象外の相手方・勘定からの買入」と理解するのが正確です。生命保険会社や年金・投資信託はオペ対象先ではないため、 日銀に売るには必ずディーラーを経由します。

本ページは「その他」から日銀・財務省を差し引く操作を行わず、公表値どうしを並べています。 発行額 − その他売付額日銀買入 − その他買付額 を推計として示すのは、 服部孝洋「日本証券業協会『公社債店頭売買高』入門」(ファイナンス2025年6月号)が紹介している方法に沿ったものです。 ただしこの2つの差額には、ゆうちょ銀行・かんぽ生命など「その他」に含まれる投資家の売買が逆符号で混じるため、 得られる値は実際の規模の下限にあたります。両社の決算開示で確認すると、たとえば2025年度のゆうちょ銀行は 国債残高が1.1兆円増、償還が5.0兆円あったのでネットでは6.1兆円の買い越しであり、その分だけ推計値は押し下げられています。

最下段の「業態別落札実績」は財務省『債務管理リポート』資料編の公表値で、入札で誰が直接落札したかを 示す唯一の公表データです。価格(利回り)競争入札分のみで、非価格競争入札・第Ⅱ非価格競争入札は含みません。 年度単位・銘柄単位のため、上のJSDAベースの月次系列とは接続しません。原資料は2017年度版以降「流動性供給入札」行と 「計」行を落としており、2016年度までと接続しないので、年度間比較には全年度共通の2/5/10/20/30/40年債を合算した 「利付債(2~40年)」を既定で表示しています。

年限区分は残存年数ではなく発行当初の年限です。超長期=20/30/40年利付+15年変動、 長期=10年利付+10年物価連動+GX10年、中期=2年/5年利付+GX5年。割引国債と国庫短期証券は対象外です。 買入消却は考慮していません。